ドーピングのようなもの

2015年03月19日

一昨日でしたか、ついに電力会社の自主判断としては初となる、合計3基の原発の廃炉が決まりましたね

原発が廃炉になっていく事そのものは喜ばしいことだとは思いますが、あくまで今回の廃炉決定は”原発なんてあんな危険なものを稼働させるわけにはいかない”という、多くの国民が抱いているであろう気持ちを受けてというわけでは決してなく、あくまですでに原則40年の稼働年数をほぼ経過した、初期の小型老朽化原発においては、20年の稼働延長を認めさせるために行わなければならない種々の工事やらの費用対効果が全く見込めないという”経済的理由”と、一部の(老朽化)原発を廃炉にすることで国民感情を緩和させ、残る(比較的新しいとされる)原発の早期稼働を実現させるという”バーター取引的理由”であるというところがやはり、命より経済を優先させる、我が国一定階層以上の方たちの主義主張を良く表しているのではないでしょうか

廃炉が決まる(議論される)と必ず出てくるのが、実際に廃炉するにあたって使用済み核燃料の処理をどうするのかという問題と、もう一つが立地自治体への経済対策問題です
『トイレのないマンション』と揶揄される使用済み核燃料の処理の問題のほうはとりあえず置いておくとして、経済対策について
これで新たに法律が変わって、これまでは廃炉が決まると即時資産価値がなくなり、固定資産税が徴収できなくなるとともに国からの原発交付金も打ち切られてしまう―というのはある程度緩和されることになりました(施行はまだだっけ?)が、すでに一時停止されている現時点において”売上がない”ということで法人税の税収が少なくなっている(多少は国から補てん金が交付されてはいる)上に、さらに税収が大幅に減ってしまうのが確実な廃炉に対して、立地自治体はある意味死活問題であるのは間違いないでしょう

中には自治体の財政における原発関連割合(税収&交付金&電力会社からの寄付)が45%を占めるなんて、依存しまくっている自治体があって、多くは住民の公共サービスの維持管理(人件費含む)費用に充てられているだけに、もし無くなればゴミの収集もしてもらえない、公民館や図書館はすべて廃止、赤字バス路線などへの財政支援もできず住民の足が無くなる・・・など、様々な被害が巻き起こるのは確実です

だから、そうならない為の新たなる経済対策(交付金含む)もしっかりとしなくてはならない!・・・というのがよくある議論



沖縄に米軍基地を押し付けてしまっているのと同様に、30㎞の原発避難区域にも含まれていない所に住み、原発の危険を押し付けてのうのうと電気を使用している私が言うのも何なんですけど、それにしても・・・と思うことがないわけではないんですよね

公共サービスと、それだけで言ってしまえば大差ないように思えてしまいますが、それなりに税収が豊かで公共サービスも充実していると言って良い我が豊田市と比べても、一人当たりの公共施設や公共サービスを比べれば、立地自治体のほうがはるかに高い水準で行われていることはあまり知られていません
解りやすく言ってしまえば、これまでの有り余るほどの原発交付金等により無駄な施設やサービスがバンバンと作られ行われてきた―という側面が多々あるわけです(全部ではないですが)



そうそう、周辺自治体の景気低迷という問題もありました
これまで原発の点検・維持管理等のために安定的に原発従事者がまるで観光客のごとくお金を落としていって景気を支えていただけに、廃炉ともなればその原発従事者は1/3とも1/5とも減ることとなり、地域経済はガタガタになってしまうという
もちろんこれまで原発関連で働いていた地元住民の雇用も悪化するのは間違いないので、まさにダブルパンチ!

が、極端な考え方をするならば、これまでは何の企業努力をしなくても勝手にお客(原発従事者)が来てくれるというような、ほとんど競争に晒されることもない状況下でぬくぬくと商売をされてきた方達に、”これまで通り楽ができるように援助してあげましょうね~”って、、それこそ『泥棒に追い銭』状態じゃないのでしょうか
原発がないと雇用が守られない・・・って、それって原発以外では雇用は守れないっていうこと???
ほかの企業誘致するとか、新たに産業を生み出すとか、そういう努力はそもそもする気が無いってことなのか?
・・・まあ、ここまで言ってしまうと『暴言』になってしまうのでしょうが(笑)



おりしも経済危機真っ只中のヨーロッパで、スペインやギリシャを筆頭に、経済支援と引き換えに行ってきた緊縮財政政策に反発するデモが頻発し、反緊縮財政政策を唱える政党が政権を取ったり支持を大きく広げたりしています

国の経済を破綻させるほどの過度な支出-ギリシャだと、国民の6割を超える公務員は30代半ばで多くが退職し、在職時の給与の90%を超える公務員年金が一生涯保障されていて、みな働かなくても遊んで暮らせるような福祉が実現されていた-である意味”贅沢な暮らし”をしてきた人達に、急に我慢を強要したって反発するのは至極当然なことですよね

まさに根本はこれと同じなんじゃないでしょうか?


普通の状況では決してない状態
言うなれば、ドーピングを使用しているというのがわかりやすいのかも

覚せい剤などと同様に、その場では肉体的に向上し精神的に高揚し、使わないのでは決して得られない世界を得ることもが可能となる
ただしその効果は一時的で、一度知ってしまったその世界を恒常的に得ようと手放せなくなり中毒化する
而して表層的には得るものが多く見えるものの、その数倍にならんとする副作用や後遺症が身体を蝕み、気が付いたときにはすでに時遅く、自らの快楽や欲望以外は考えることもできなくなってしまう


ギリシャやスペインのような経済危機に見舞われている国々、これまで原発マネーで潤ってきた立地自治体、さらに言えば利権や天下り先を確保しようとする官僚や原発関連企業からの献金と票を失いたくない原発推進を加速させる与党自民党などなど

確実に蝕まれているであろう側面を一切無視して、それを正す・治療するのではなくあくまで更なるドーピングをつぎ込む

これが本当に必要な処置なのでしょうか?

必要なのは誤魔化すことではなく、それが如何におかしな状態であったかを自ら認める事
そしてそれに頼らずに済むように改善していくこと


もちろん過渡期をソフトランディングさせるための処方は必要とした上で、でも、自ら痛みを我慢する覚悟なくては病は治りません
漠然とした一部だけが益を独占し、大半の弱者は切り捨てられるような支援策ではなく、住民が自ら改革するのを助けるための、本当の意味での『厳しくも優しい』支援策を、決して目先に囚われないソレこそがまさに行われるべき

それが決して行われないことが分かりきっている今の世の中で
でも誰かがそれを言わなければ何も変わらない
直接関係しない私たちがそれを直視しなければ
いつしか我が身も蝕まれていくことになる

誰の言葉だったか
知らないことが罪なのではない
知ろうとしないことこそが罪なのである

知ろうとしない自分を恥じることなく、教えてくれないと他人を罵るのはもう止めたいものですね





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Posted by 某所の人 at 22:56│Comments(0)戯言
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